食後しばらくしてから胃痛を感じることはありませんか?
胃痛というと、食直後や空腹時に起こるイメージを持たれる方が多いかもしれません。しかし、食後数時間たってから痛みが現れる場合にも、いくつかの原因が考えられます。
この記事では、「食後4時間後に胃痛がする原因」に焦点を当て、その原因、対処法、そして再発予防について詳しくご説明いたします。
胃痛のタイミングから原因を推測できます
胃痛が生じるタイミングによって、ある程度原因を推測することができます。以下に代表的な例を挙げます。
- 食直後の痛み
胃の働きが活発になるタイミングで痛みが出ることが多く、急性胃炎や機能性ディスペプシアが疑われます。
- 空腹時・深夜の痛み
空腹時に分泌される胃酸が原因で痛みが生じやすく、胃・十二指腸潰瘍の兆候である可能性があります。
- 食後4時間後の痛み
食後4時間ほど経つと、食べ物が胃から十二指腸・小腸へと移動するタイミングです。
この時間帯の痛みは、腸の不調や胆のう・膵臓のトラブルなどが原因として考えられます。
「食後4時間後に胃痛がする」主な原因
- 胃潰瘍・十二指腸潰瘍
食後数時間してから痛みが出る場合、胃や十二指腸の粘膜が傷ついている可能性があります。
特に空腹時や夜間に痛みが出やすく、みぞおち付近の痛み、胃もたれ、吐き気、食欲不振、場合によっては吐血や黒色便がみられることもあります。 - 胃の運動機能の低下(機能性ディスペプシア)
胃の動きが低下することで、食べ物の排出が遅れ、消化不良による胃の重さや痛みを感じることがあります。
ストレスや自律神経の乱れが関係することも多く、内視鏡検査を行っても異常が見つからないケースもあります。
主な症状には、胃の張り、胃痛、食後の不快感、ゲップの頻発などがあります。 - 胆石症・胆のう炎
脂っこい食事の後、右上腹部からみぞおち付近にかけて痛みを感じる場合は、胆石症の可能性があります。
胆石症や胆のう炎では、差し込むような胃痛、吐き気、右肩や背中への放散痛などがみられます。 - 慢性膵炎・膵臓のトラブル
膵臓は食後数時間後に消化酵素を多く分泌します。このため、膵臓にトラブルがあると痛みが出やすくなります。
慢性膵炎では、背中側に響くような痛み、持続的な胃痛、吐き気、下痢、脂肪便、体重減少などの症状が現れることがあります。 - 腸のガス溜まり・過敏性腸症候群(IBS)
豆類、炭酸飲料、脂っこいものなどを食べると腸内にガスがたまりやすく、胃のあたりに痛みを感じることがあります。
過敏性腸症候群では、腸の動きが乱れることで下腹部の痛みや、下痢・便秘を繰り返すこともあります。
受診の目安
次のような症状がある場合は、早めに医師の診察を受けましょう。
- 胃痛が数日以上続く
- 夜中や明け方にも胃痛が起こる
- 食欲不振や体重減少がみられる
- 吐血や黒色便など出血を疑う症状がある
- 背中に響く強い痛みがある
これらの症状がある場合には、内視鏡検査や超音波検査、血液検査などで、正確な原因を調べることが重要です。
些細なことでも構いませんので、当院の消化器専門外来までお気軽にご相談ください。
胃痛を和らげるためのセルフケア
- 規則正しい食生活を心がける(特に寝る直前の食事を控える)
- 脂肪分・刺激物・アルコール・カフェインの摂取を控える
- よく噛んでゆっくり食べる
- 適度な運動や十分な睡眠でストレスを軽減する
- 市販の胃薬を使用する場合も、症状が続くなら自己判断で放置しない
これらのセルフケアは胃痛の軽減に役立つことがあります。ぜひ参考にしてみてください。
まとめ
食後4時間後に胃痛が生じる場合、胃・腸・胆のう・膵臓といった複数の臓器に異常が生じている可能性があります。一時的な胃痛であっても、慢性的に続く場合は身体からの重要なサインかもしれません。自己判断で放置せず、早めに専門医へご相談ください。正確な原因を知ることが、根本的な改善への第一歩となります。